
| 畑9 | だいこん | ||
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さて、どうしようか。手持ち無沙汰な仲間は全部で六人。畑の雪掻きでも手伝おうとしていた私たちに、畑主の言葉は響きました。「こんな日に凍てついた野菜を掘り起こしてはいけないんだよ。凍ったまま収穫した野菜は常温になっても決して元には戻らない。ごりごりでひどく不味いままなんだ。だからすっかり雪が溶けるまで待つ。そして土も野菜の細胞も元に戻ってから収穫をするんだよ」そう、か。季節や天候に関係のない、快適で便利な営みを当然のことと思っていました。時を待つ。なにか忘れかけていた原点のようなもの。 |
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そこへ主の高柳さんが大きな袋を抱えてきました。「パンでも焼くか」袋の中身は自家製の小麦粉でした。雪の日のパン作り。思わぬ展開でしたが、何とはなしに皆の手が動いています。だって今日のメンバーは私の他に料理人の卵、カフェのパティシエとそのスタッフ。食べ物には一家言ある人ばかりです。自然、チャパティ作りが始まりました。精密なレシピなどもちろんありませんから、各々の手にまかせるゆったり作業。小麦粉はあっという間に生地玉になりました。チャパティはインドなどでカレーと共に食べる薄焼きパンのこと。よく似たものにふっくらとした「ナン」がありますが、チャパティはイーストなどの発酵成分を含まないので、粉と水があれば手軽に作れるのです。 |
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今回はこんな作り方をしましたよ。 1. 小麦粉を適量ボウルにいれる。今回はお椀に4~5杯分くらい。自家製なたね油を大1と、塩をほんの少し加えました。(この日は薄力粉でしたが、本場インドでは全粒粉を使います。全粒粉だと作業も出来上がりも少し固くなりますので、初心者には今回の作り方がお薦めです。) 2. お水を加えて滑らかになるまでよくこねる。耳たぶくらいの柔らかさになったらボウルの上に蓋をしてしばらく生地を休める。 3. (2)の生地を小分けにして丸くのばし、ホットプレートで両面を水分が飛ぶ程度に焼く。(油はひかなくてよし) 4. 両面焼けたものを更にガスの直火にかける。するとプゥと生地が風船のように膨らんで完成。 これにギー(山羊などのバター)や溶かしバターを塗っていただくのが本流です。私たちのチャパティ、膨らみは不十分でしたが味はなかなか。 その後も次々と「出来たよ!」の声が挙がります。パンケーキ(これには黒糖を溶かして作った即席シロップ付)に固焼パン、そして刻んだ落花生入り全粒粉のクッキー!工房中に広がった香ばしい匂いと自家製小麦の濃い味わい。 皆でこねる、わいわいと焼く、多少の失敗なんて気にせず作る、作る。この愉しさを見つけた六人は夢中でした。夜は高柳師匠による蕎麦講習会が開かれ、地酒と手打ち蕎麦を堪能。遅くまで雪夜の放談会は続いたのでした。こんな日があっても、ま、いいか。 |
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PS: *だいこんレシピ クラムチャウダー さて、今回はご紹介するのはクラムチャウダー。 「白」「体を温めるもの」から連想したメニューです。ただしそこに、今回は他の具同様に大根も入れてみました。ええ?大根?とお思いでしょう。実はこの日ご馳走になったお昼のカレーに大根が入っていたのが、ヒントなのです。特に冬大根の根元半分くらいまでが甘くてお薦め。ホワイトソースにもとても合うんですよ。 冬の寒い日、体を温める滋養もある大根を上手に食べて、そこまで来ている春を待ちましょう。もちろん、クラムチャウダーにチャパティ、okです。 *おいしいコラム「おいしい台所」 ?ハインツを連れて畑へいこう第九回? 奥村文絵=構成・文・写真 +次を読む +前を読む +バックナンバー |