コラム「ローカルフードレシピ帳」

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ローカルフードレシピ帳
大阪住吉大社の玉子コロッケ
商店街の迷宮・大阪深南部に古くから伝わる独創的コロッケ
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大阪の繁華街は「キタ」と「ミナミ」*1に大別されます。キタの中心である大阪駅前から大阪のメインストリート御堂筋をてくてく南下すると1時間弱で南海なんば駅に至ります。壮麗な14連アーチを配したルネッサンス様式のミナミのランドマークであるこの豪壮な駅舎を見上げる旅行者の多くは、ここが大阪の南の端であると考えますが、地図を広げて見てみると、大大阪市はここからさらに南に広大な市街地を擁していることに気付くでしょう。関西本線と大和川に挟まれた、このエリアが「大阪深南部」と呼ばれる巨大な下町地区です。

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この大阪深南部は全蓋式アーケードが日本一濃く分布する、「商店街の迷宮」*2でもあります。最も大阪らしい大阪、そのエッセンスの源泉に触れてみたいと考える旅行者は、なんばから南海電車、あるいは天王寺駅前から、大阪に唯一残った路面電車である阪堺線に乗って、このラビリンスを探訪してみましょう。縦横無尽に果てしなく広がる商店街に点在する、串カツ、お好み焼き、たこ焼き、どて焼きといった大阪のソウルフードの匂いに包まれながら松虫、天下茶屋、玉出、岸里、粉浜といった大阪的エキゾチシズムに満ちた地名を巡るだけで、あなたの頭の中には「じゃりん子チエ*3のテーマソング」や「憂歌団*4」の歌が鳴り響くことでしょう。

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さて、あなたはついに深南部の霊的中心である住吉大社、通称「すみよっさん」に至ります。ここの商店街に、今回の目的地である洋食屋さん「やろく」があります。昭和10年1月1日創業といいますから、実に74年に渡って、地域に密着してきた老舗中の老舗であります。ここの「玉子コロッケ」は近年は都心のデパ地下などに進出しておりますが、最近までこの近辺、「コロッケが冷めない距離」の範囲でしか食べることの出来ない、まさにローカルフードでありました(実は冷めてもおいしいのですが)。ずしりと重たい大きなラグビーボール状のコロッケは、もちもちとした厚めの衣に包まれており、中身は卵とハムとぷりぷりの海老です。シンプルなネーミングからは想像できない複雑玄妙な味のコロッケはごはんのおかずに良し、パンに挟むも良し、気軽なスナックとして食すも良しのボリュームある一品であります。

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きれいな店内で食べるのも、もちろん良いのですが、天気がよければ、すぐ近くのテイクアウト専門店舗でコロッケを購入して是非、壮大な住吉大社の境内で美しい朱色の反り橋を眺めながら、玉子コロッケを食べてみてください。あまたある大阪のローカルフードの中でもディープな玉子コロッケの存在に大阪と言う巨大な街*5の奥深さが実感できると思います。

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あのうまいうまい玉子コロッケを家でも喰べたい! という向きは以下のレシピを参照して作るべし。ハインツのホワイトソースとトマトケチャップを使えばかなりのレベルで再現可能です。


★「ハインツ玉子コロッケ」の作り方★
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材料(4人分)
ハインツ ホワイトソース1缶、牛乳100cc、卵4ヶ、ハム50グラム、エビ50グラム、カレー粉小1/2、塩・こしょう少々、小麦粉・卵・パン粉適量、揚げ油適量、ハインツ トマトケチャップ適量


<引用説明>
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*1ミナミ
キタと呼ばれる梅田周辺は鉄道の開通とともに勃興した繁華街です。古来よりミナミが大阪の繁華街の代表でした、実際に大阪市の地図を眺めてみると、なんば駅は市のちょうど中心あたりに位置します。

*2「商店街の迷宮」
全蓋式アーケード商店街は大阪が本場です。深南部一帯だけで30箇所以上の全蓋アーケードが存在します。これは東京23区全体の全蓋アーケードよりも多い勘定になります。大阪全域になりますと、総延長だけで優に東京の数倍になります。大阪はアーケードの都です。

*3じゃりん子チエ
大阪深南部を舞台にした、はるき悦巳の人情コメディ漫画作品。第26回(昭和55年度)小学館漫画賞受賞。高畑勲監督によって映画化された。大阪の下町をユートピアとして描いた傑作。

*4憂歌団
メンバー全員、大阪出身のブルースバンド。代表作は「おそうじオバチャン」1998年休業宣言。

*5大阪と言う巨大な街
大阪市の人口は約266万人(2009年5月1日現在)ですが、これは市域が狭いためです。連続した周辺の市街地を東京23区程度の範囲まで含めると、実質的には500万人規模の都市です。


取材・撮影・文章=高木壮太


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