| 新潟のイタリアン | ![]() |
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| 国境の長いトンネルを抜けると、そこはイタリアンの国であった。 | ||
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新潟にイタリアンというローカルフードがあると聞いたのはいつの頃だったでしょうか? イタリアンと聞けば誰もが、その奇妙なネーミングの由来について詮索を始めます。イタリアンやアメリカンのように国名+anの形を取る単語は、国名を形容詞化したものでありますから、イタリアン・ドレッシング、アメリカン・エキスプレスのように修飾される名詞があるはずです。ただのイタリアン、ブラジリアンでは意味を成しません。しかし、言葉というものは必ずしも明確な意味を成す必要は無いものです。イタリアという言葉が放つオーラ、すなわち、太陽と歌とおいしい食べ物の陽気な国、といったイメージは確実に万人を魅了し惹きつけます。 |
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新潟から発せられたそのイタリアのオーラに誘われるように、旅行者は日本の大山脈を越えます。境目にある関越トンネル*1を越えると、そこは世界有数の豪雪地帯であります。県域を縦断する日本一長い信濃川を下り、河口に達するとそこは日本海側最大の都市、新潟市です。ここ新潟の地には創業100年を誇るローカルファストフードショップ「みかづき」*2がチェーン展開しており、イタリアンはこの店のオリジナルメニューです。 |
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さて新潟のイタリアンを端的に表現すれば、焼きそばにトマトソース*3がトッピングされたものです。うどんのように太い麺には、すでに濃厚な下味が付いており、これにさらに各種ソースがかけられているという二重構造になっているので、交互に別の味を楽しむことができます。ボリュームといい、濃厚な味といい、安価さといい、テイクアウト*4も自在な手軽さといい、まさに若者オリエンテッドな独自のローカルファストフードとして高いレベルで完成されている一品です。 |
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学校帰りの生徒たちでごったがえした明るい店内では、新潟県民のソウルフードがソフトクリームと共に提供されております。そして彼らがやがて都会に出たとき、イタリアンが新潟以外に存在しないことに初めて気付きます。それは彼らの新潟県民としてのアイデンティティが確立する決定的瞬間でもあります。雪に閉ざされた日本海側の長い冬に、はるか太陽と歌の国イタリアからもたらされた一条の光が差し込んでいる、新潟のイタリアンとはそういった願望や夢の象徴的存在であるのではないでしょうか。 |
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あのうまいうまいイタリアンを家でも喰べたい! という向きは以下のレシピを参照して作るべし。ハインツのホワイトソースを使ってオリジナルのイタリアンをお試しあれ。 ★「ハインツふうイタリアン」の作り方★ ----------------------------------------------- 材料(2人分)たまねぎ1/4個、もやし1/2袋、キャベツ3枚、ピーマン1個、豚コマ100g、市販の焼きそば(太めん)2人前、ハインツ ホワイトソース1/2缶、水80cc、塩2つまみ、こしょう少々 <引用説明> ----------------------------------------------- *1関越トンネル 関越自動車道の群馬県と新潟県の境にある長大なトンネル、長さ約11Kmで日本一。途中に県境を示す太〜いラインが引いてあり、越境感抜群です。 *2みかづきチェーン 新潟県下越地方に27店舗(09年9月現在)のチェーン展開をする、創業100年の甘味処起源のファストフードチェーン。長岡を中心とする中越地方では「フレンド」チェーンがイタリアンを提供しています。みかづきとフレンドは創業者同士が仲良しで、両チェーンのまれに見る相互繁栄振りは商業のありかたのひとつの模範であります。 *3焼きそばにトマトソース 1960年に誕生した時のプレーンなイタリアンはトマトソースですが、現在ではホワイトソース、カレー、ブイヤベース風、越後みそ、などとバラエティに富んだ各種イタリアンがあります。「越後みそイタリアン」などは、すでに本来の意味を完全に逸脱した、その柔軟で自由な発想に驚かされます。 *4イタリアンのテイクアウト 中越のイタリアンチェーン「フレンド長岡喜多町店」には1976年に設置された日本最古のドライブスルーがあります。 取材・撮影・文章=高木壮太 +次を読む +前を読む +バックナンバー |