| 鉄道博物館のハチクマライス | ![]() |
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| よみがえった列車乗務員用の特別メニュー | ||
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一昔前までは、新幹線をはじめとする特急列車の多くには食堂車*1が連結されており、おなかがすいた乗客は食堂車に立ち寄って、車窓いっぱいに広がる富士山を眺めつつコース料理、あるいは海を眺めつつオードブルと共に軽いアルコール、といった具合に、列車の中でもきちんとした食事を楽しめたものでした。旅情に欠けるといわれた、慌ただしい新幹線内でさえ、カレーライスを頼むと白いテーブルクロスの上に銀のソースポットに入ったカレーがサーブされて、優雅な気分が味わえたものです。食堂車での食事はまさに人生無上の喜びのひとつでありました。 |
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夜更けて、がらんとした食堂車にふらりと入ると、奥のほうで車掌さんやウェイトレスさんたちが、テーブルでリラックスしつつ食事を摂っている、なんていうほほえましい光景も当時はよく見られたものです。そういうときに彼らスタッフが食べていた裏メニュー、それがハチクマライス*2です。要するに列車内の賄い飯なわけですが、知る人ぞ知るこの裏メニューは一部の鉄道ファン以外にはまったく知られることも無く、いつのまにか食堂車がほぼ絶滅してしまい、永久に埋もれてしまうところでしたが、元食堂車コックさんが経営する店でひっそりと継承されていたこのハチクマライスが2007年オープンの鉄道博物館*3内の日本食堂で提供されるようになって以来、またたくまに大人気メニューとなり、いまや各地に伝播*4し、鉄道発祥のローカルフードとして定評を得るまでになりました。 |
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賄い飯という性格上、決まったレシピは存在しないハチクマライスですが、線区ごとに特色があったようで、日本食堂でも東北本線バージョン、奥羽本線バージョン、羽越本線バージョンと、シーズンごとにレシピを変えてさまざまなバージョンのハチクマライスが提供されています。基本は目玉焼き・温泉卵丼ですので、バリエーションは無限でありましょう。食堂車自体が絶滅した今となっては本来のハチクマライスを味わうことはできませんが、見事に復元されたこの素朴な賄い飯を通して、往年の食堂車全盛時代の旅情に思いをはせてみてはいかがでしょうか? |
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あのうまいうまいハチクマライスを家でも喰べたい! という向きは以下のレシピを参照して作るべし。ハインツのデミグラスソースを使ってオリジナルレシピに挑戦してみましょう。 ★「ハインツのハチクマ丼」の作り方★ ----------------------------------------------- 材料(2人分)ハインツ デミグラスソース1缶、水100cc、豚ロース肉100g、温泉卵2個、季節の野菜をお好みで、ごはん茶碗2杯 <引用説明> ----------------------------------------------- *1食堂車 かつては特急列車どころか急行列車にも連結されていた食堂車も、2000年3月に新幹線食堂車が廃止になって(ビュッフェは2003年まで)からは、青函トンネル直通夜行便のトワイライトエクスプレス、北斗星、カシオペアに連結されているのみです。それにしても、現在、食堂車の無い長距離列車の車掌さんや車内販売員のお嬢さんは、どこで食事を摂っているのでしょうか? 連結部で泣きながらパンをかじっている―なんてことがありませんように! *2ハチクマライス プロは「ハチクマ」と短く呼称、ネーミングの由来は不明。東海道中膝栗毛の八っつあん、熊さんからとの説もあります。基本は目玉焼き丼で、当時の食堂車内では料金伝票に「ライス」と書いてライス代相当で乗務員にのみ販売されていました。 *3鉄道博物館 2006年に閉館した秋葉原の交通博物館の後継施設として、埼玉県さいたま市に2007年10月14日に開館。通称「てっぱく」。開館以来、予想を上回る人気で異常な混雑を見せています。 *4ハチクマライスの伝播 以前から京都府京田辺市にハチクマを出す店が存在していましたが、鉄道博物館での人気以降、埼玉県内のショッピングセンターのフードコート、両国駅構内、広島駅構内などでも販売されています。 取材・撮影・文章=高木壮太 +次を読む +前を読む +バックナンバー |