コラム「おいしい台所」

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おいしい台所

「おいしい台所」。
毎日の食卓を大さじ一杯くらい豊かにするレシピコラム。
日々の台所仕事のなかで出会った料理をめぐるモノやコト、
そんなおいしい話を綴ります。

奥村文絵 = 構成・文・写真

畑12キャベツ

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春の道草。

ハインツを連れて畑へいこう第十二回
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【キャベツ】 アブラナ科アブラナ属
cabbage(英), chou(仏), kraut(独)

ごちそう。聞いただけで口の中はじゅわじゅわ。日々の食事は体を調整するためのもの。疲れたときの豚肉生姜焼きは足腰がぐっと力強くなる気がするし、ここ最近グレープフルーツなどの柑橘類を朝な夕なに食べるようにしているのは、何を隠そうお肌の調子が気になってのこと。体中、どこをとっても全て食べたもので出来上がっている、食すなわち体の薬なり、それはよくよく分かります。
でもね。やっぱりそんな毎日が続くと味気ないんだなぁ。食卓を囲んだときに「わぁ」と笑顔になるようなごちそう。そんなハレの句読点があるからこそ、長く続く暮らしという名の小説を読み続けることができるというもんです。

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花灯籠

村祭りのことを聞いて、ごちそうのことを思い浮かべたのはそんな訳です。毎日休みなく続く畑仕事の合間、勢いよく芽吹き始めて、そこかしこに若緑の匂いが春雨に入り交じる穀雨の頃に畑の一帯で春の祭がありました。
朝、公民館に行ってみると、外に素朴な花灯籠が一本、しっかと立っています。村びと達が手作りした色とりどりの紙花が頭上から垂れて、噴水のように広がっている下を、法被を着た子供たちが慣れぬ格好に少し照れながらも足取り軽く、こちらあちらに駆け抜けていきます。
「おはようございます」声をかけられたものの、あれ、どなたでしたっけ、、、やや、畑主高柳さんの奥さん!いつものおかあさんじゃない!そこに居たのは薄紫の着物姿にお化粧、髪には花飾り、はんなりと佇む艶やかな女性でした。側には青い法被に白い足袋を履いた高柳さんの姿。初めて見るハレの衣の中のふたり、厳かでありながらどこか微笑ましいのでした。

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法被を着た子供たち

やがて太鼓、笛の音、お囃子が響いて祭りが幕を開け、鎮守の森へと祭りの一行が動き始めました。道中、着物姿の女の人たちが老いも若きも踊り踊り、お囃子を乗せた花車と共に五穀豊穣、天下泰平を記した花灯籠を男の人が引き練り歩くのです。まだ少し肌寒さが残る曇空を忘れさせる女衆の華やかな手足さばき、重たい花灯籠をやれんやれんと担ぐ力強い男衆達が一行を先導して、ゆっくりゆっくり田んぼの中を通り坂道を上がり、停まっては踊り、踊っては停まる。そんな穏やかな行進をいつしかたくさんの見物人が迎え、やがて神主様を列に加えて、花灯籠が厳かに神社に吸い込まれていったのは、お昼になってのことでした。

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鎮守の森へ

帰りに寄った野菜の直売所にも、祭りの花飾りがありましたよ。とはいってもこちらは柔らかそうな葉を幾重にも巻いたキャベツ。そのほかにも、じゃがいも、青あおとしたほうれん草にチンゲン菜、大根や人参、色とりどり、たくさんの野菜。
思えば最初は野菜畑の観察のつもりで通い始めた畑、辿って行った先に見つけたのは、何よりたくさんの手間と力強く生きる人々でした。「野菜を育てることは、人を育てることと同じだよ」農家の人はよく言います。真夏の日照りの下で続く草むしり、寒空に吹かれながら広大な畑に植え付ける苗。何ヶ月もかけて作ったものが、ひと雨で出荷できなくなってしまうこともあるけれど、「また耕すんだ」という農家の人々の粘り強さが、この野菜たちを届けてくれるんですね。きっと明日は法被と着物を脱いで、祭り囃子に誘われてぐんと伸びた雑草を抜いていることでしょう。
丹精こめて育てられた品々を手軽に食べられるシアワセをしみじみ噛みしめつつ、今夜は春キャベツでごちそうです。

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ロールキャベツ(デミ風味)

PS:
*キャベツレシピ
ロールキャベツ(デミ風味)

今回は「キャベツ」を使ったごちそうレシピを御紹介しましょう。定番のロールキャベツにデミグラスソースを使うだけで、ちょっとしたおもてなしにもぴったりのコクのあるひと品に変身します。最後にヨーグルトをのせて、ささ、どうぞ。

* 野菜メモ
今、出盛りの春玉キャベツは甘く水分が多いので、軽く蒸すだけで具を巻きやすくなりますよ。他の料理のつけ合わせにたっぷりと生で食べるのもいいですね。キャベツには胃腸障害に有効なビタミンUが豊富、三寒四温の移り気な天気に食欲が進まない方にもお薦めです。


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